生前贈与とは、生前において相続人となる方等にお金や不動産などを分け与えることです。贈与税は10%~55%(基礎控除額を控除した後の課税価格に対する税率)と相当な税額になるため、できるだけ非課税枠を活用して将来の相続人に渡していくことが生前贈与の主な方法になります。

年110万円までの非課税枠を利用した暦年贈与、大きな非課税枠がある住宅資金、教育資金、結婚・子育て資金の支援、配偶者への自宅の贈与等の方法でも生前贈与を行うことができます。

  

目次

  

生前贈与とは

生前贈与とは、被相続人が生前に贈与契約を行って相続人等に遺産を移転することをいいます。
生前に贈与をすることで、被相続人の遺産が減少し、これによって相続税の節税効果が見込まれるため、用いられることがあります。

生前贈与のメリット・デメリット

メリット

    

1)控除、特例を使った贈与税の節税
税金の節約につながる主な生前贈与の金額や方法は、次の通りです(基本的には受け取る側の金額)。

生前贈与種類 内容
暦年贈与 1年間の贈与額が110万円まで課税されない
相続時精算課税制度 累積2,500万円まで課税されない
配偶者への贈与 夫婦間は2,000万円まで課税されない。
※20年以上婚姻関係が続き、居住用不動産(現物)または居住用不動産を取得するための金銭であることが必要。
子や孫への教育資金 1,500万円まで課税されない(そのうち学校など以外に支払う金銭は500万円まで)
※2023年3月31日までの措置
結婚・子育て資金の一括贈与 受贈者1人につき1,000万円まで課税されない(そのうち結婚に際して支払う金銭は300万円まで)
※2023年3月31日までの措置
  

併用不可の制度や期間や対象年齢が限定されているものも多い為、事前に条件を確認し、適切な方法を選ぶことが必要です。

    

■暦年贈与
暦年課税は通常の贈与税の課税方式のことです。贈与のあった年の1月~12月までに受けた贈与に対して課税します。これには年間110万円の基礎控除があります。この基礎控除の範囲内で贈与をしている限り、贈与税の課税はありません。

■相続時精算課税制度
60歳以上の親・祖父母が亡くなるまでの間20歳以上の子・孫への贈与について、最大2,500万円まで贈与税の非課税となる制度です。
ただし、贈与した金銭は、相続時に相続税の対象となります。
また、この制度を利用すると暦年贈与を利用できないなどのデメリットがありますので注意が必要です 。

    

2)相続税を軽減できる
生前贈与により財産を減らすと、本人が死去した後の相続税が減らせます。残される人の税負担を軽減し、少しでも多くの財産を渡すには、生前贈与が役立ちます。

    

3)財産を贈る相手、時期を自由に選べる
生前贈与は財産を渡す相手を自ら自由に選択できます。
本人が亡くなった後の相続だと、法定相続人に財産が渡ることになります。遺言書を作成しても、遺留分を主張されると、故人の希望が叶わない可能性もでてきます。そのため、法律の規定とは異なる相手に(異なる割合で)に財産を渡したいときは、存命中に贈与をした方が希望を叶えやすくなります。
また、相続は本人が亡くなるまで発生しません。そのため財産を渡せる時期は不透明です。一方、生前贈与は、財産を贈るタイミングを自分で決められます。子や孫がたくさんの費用が必要となる人生の節目で財産を渡すことができる等、受け取る側のメリットも大きくなります。

    

4)遺産相続のトラブルを回避できる
故人の死去後は、相続を巡って争いが起きることがあります。しかし生きているうちに財産を渡してしまえば、本人の意志が尊重されることになりトラブルを避けやすくなります。

デメリット

    

1)税務署に認められないリスクがある
存命中の贈与によって税金を節約するには、金額や対象が定められた条件に合致しなければなりません。条件に合わない場合、税務署に控除や特例の適用を認められず、通常通りの贈与税や相続税を払う可能性もあります。(場合によっては追徴課税や延滞税が発生することも考えられます。) ※現金の手渡し、名義預金、タンス預金などは、税務署に認められないことがあるので、特に注意が必要です。

    

2)贈与税以外の税金が発生する場合がある
不動産を贈与するときは、手数料や贈与税以外の税金が発生します。
■登録免許税(登記簿謄本の記載内容を変えるときに発生する税金)
■不動産取得税(不動産を取得したときに発生する都道府県税)
他に、登記に関連した費用がかかることも念頭に入れる必要があります。

    

3)贈与から3年以内の死亡は相続税の対象となる
贈与をしてから、本人が亡くなるまでの期間が3年以内の場合、相続財産として扱われてしまい、相続税が発生することがあります。この規定は、生前贈与加算と呼ばれます。しかし生前贈与加算の対象とならない事項もあり、その点は確認が必要です。
・遺贈や相続の対象ではない人への生前贈与
・結婚・子育て資金の一括贈与に関する特例
・教育資金の一括贈与に関する特例
・住宅取得資金など贈与に関する特例
・夫婦の間でおこなう贈与の特例

    

4)遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)される場合がある
生前贈与に不満を持つ法定相続人から、本人の死亡後に、遺留分(最低限の相続権利)を主張される可能性もあります。特に、財産の所有者である被相続人が死去する1年以内に行われた贈与については、遺留分の主張をされるリスクが高いです。

生前贈与に向く場合、向かない場合

生前贈与する方がいい場合

・贈与する人がまだ若い場合
・多人数に財産を遺したい場合
・特定の人に限って財産を遺したい場合
・相手が必要な時に財産を渡したい場合
・相続トラブルが予想できる場合
・収益性のある不動産を贈与したい場合
・将来確実に価値が上がる財産を贈与したい場合
・贈与する人が事業を行なっている場合

相続の方がいい場合

・財産が少額で、相続税の基礎控除以内である場合
・生前贈与の控除、特例が適用される子どもや孫、配偶者がいない場合

生前贈与のポイント

①生前贈与の成立要件を満たす
生前贈与は、財産を贈る側と贈られる側の意思表示がおこなわれた段階で成立します。公正な贈与の証拠を残すために、贈与契約書を作成するのがおすすめです。贈与のたびに、契約書を作成するとよいでしょう。

②贈与する側が元気なうちに始める
財産を贈る側が年齢を重ね、適格な判断ができなってしまうと、生前贈与の成立要件である「財産を贈ることに対する意思の確認」が難しくなります。また、財産を贈ってから3年以内に本人が死去すると、相続税が課されることもあります。健康で、明確な意思表示ができるうちから贈与について検討することが重要です。

③毎年同じ金額を贈与しない
暦年贈与を選択すると、受取人の1年の贈与金額が110万円以下であれば基本的には非課税です。しかし、同じ金額を毎年同じ時期に贈り続けると、定期贈与(連年贈与)として扱われ、課税対象になることがあります。
定期贈与とならない為に、贈与のたびに契約書を作る、贈るタイミングや額を変える、といった対策が必要です。
※定額贈与:定められた金額を毎年贈ることが事前に決まっているもの。

④贈与される人が管理する口座に振り込む
財産を贈るとき大切なことは、銀行振り込みなどで証拠を残すことです。贈与の証拠を提示できないと、相続財産となり、相続税が発生する可能性があるからです。特に、現金をそのまま渡すのは、避けることをお勧めします。
また、名義預金は、祖父母や親の財産と扱われ、相続税の支払い義務が生じる場合があります。財産を受け取る人が作成・管理する口座に、お金を入れるのがおすすめです。
※名義預金:財産を贈る人(祖父母や親)が、財産を受け取る人(子や孫)の名義で開設した口座に入金すること

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