この記事でわかること
  • 不動産売却の相談先を、相談したい内容ごとに選ぶ方法
  • 相続した不動産を売るまでの5つの手順と、査定を4番目にする理由
  • 譲渡所得税の税率と、取得費が分からないときの扱い
  • 相続空き家の3,000万円特別控除と取得費加算の特例の要件・期限
  • 不動産会社に相談するときに確認したい4つの点
目次

不動産売却の相談先|結論として誰に聞けばいいか

「不動産を売りたい」と思ったとき、多くの方がまず不動産会社を思い浮かべます。もちろん売り方や価格の相談先は不動産会社で間違いありません。ただし、相続した不動産の場合は事情が変わります。誰の名義にするか、税金の特例をどう使うかが決まっていないと、査定を受けても話が前に進まないからです。相談内容によって、不動産会社・税理士・司法書士・弁護士と適任者が分かれます。まずは「自分が今、何を決めたい段階なのか」を整理することが、遠回りを避ける近道です。

売り方の相談は不動産会社

いくらで売れそうか、どのくらいの期間がかかるか、仲介と買取のどちらが向いているか。こうした「売り方」の相談は不動産会社が専門です。査定は無料で受けられるのが一般的で、複数社に依頼して価格の根拠を比べることもできます。ただし不動産会社は売買の専門家であって、遺産分割の調整や相続税の判断まで担うわけではありません。名義や税金の方針が固まっていない段階で査定だけ先に進めると、後から条件が変わって出し直しになることもあります。

相続がからむなら、その前に決めることがある

相続した不動産を売る場合、査定より前に決めておくことが三つあります。第一に、相続人が誰で、遺産に何が含まれるのか。第二に、その不動産を誰が取得し、売却代金をどう分けるのか。第三に、使える税金の特例があるか、その期限はいつまでか。この三つが決まらないまま売りに出すと、契約直前で相続人の合意が取れず白紙になったり、特例の要件を外して税負担が数百万円単位で変わったりします。順序を守ることが、そのまま損失の回避につながります。

税金の相談は税理士、名義の相談は司法書士

譲渡所得税がいくらかかるか、空き家特例と取得費加算のどちらが有利か、といった税金の判断は税理士の領域です。一方、相続登記や名義変更などの登記手続きは司法書士が担当します。相続人同士で話がまとまらない、連絡が取れない相続人がいるといった争いの要素があれば弁護士の出番です。役割が分かれているため、一人の専門家にすべてを聞こうとすると答えが出ません。相談内容ごとに窓口を振り分けるか、振り分け自体を第三者に整理してもらう方法があります。

相談したいこと 相談先 費用の目安
売り方・査定価格の相談 不動産会社 無料
相続税の試算・特例適用の判断 税理士 相談料(数万円程度〜)、申告時は報酬別途
相続登記・名義変更の手続き 司法書士 司法書士報酬(数万円〜10万円程度 ※登録免許税別)
遺産分割のトラブル・話合いの不調 弁護士 相談料(30分5,000円〜 ※着手金・報酬別途)
相談内容の整理・専門家の紹介 終活と相続のまどぐち 無料

相続した不動産は、そのままでは売却できない

「親の家を相続したので売りたい」というご相談は多いのですが、亡くなった方の名義のままでは売買契約を結ぶことはできません。不動産を売れるのは登記簿上の所有者だけで、その名義を相続人へ移す「相続登記」を済ませて初めて、売却の手続きに進めます。さらに相続人が複数いる場合は、全員の合意がなければ手続きが止まります。売却を急ぎたい気持ちがあっても、まずは権利関係を整えることが先決です。ここを飛ばすと、買主に迷惑をかける形で取引が流れかねません。

相続登記をしないと売却の手続きに進めない

売買では、決済と同時に売主から買主へ所有権移転登記を行います。このとき売主が登記簿上の所有者である必要があるため、被相続人名義のままでは登記が通りません。実務上は「相続登記→売却」の順で進めるのが原則です。相続登記には戸籍一式や遺産分割協議書、印鑑証明書などが必要で、書類を集めるだけで1〜2か月かかることも珍しくありません。売却時期から逆算し、早めに司法書士へ依頼しておくと、買主が決まってから慌てずに済みます。

相続人が複数いる場合は全員の合意が必要

遺産分割が済んでいない不動産は、相続人全員の共有状態にあります。共有物の売却には共有者全員の同意が必要で、一人でも反対すれば売ることはできません。売却価格や引渡し時期、諸費用の負担についても全員の足並みをそろえる必要があります。相続人が遠方にいる、疎遠で連絡が取りにくい、認知症で判断能力に不安がある。こうした事情があると、同意を得るまでに想像以上の時間がかかります。まずは相続人の人数と連絡状況を確認するところから始めてください。

遺産分割がまとまっていない段階でできること

分割の話し合いが長引いていても、待つだけの時間にする必要はありません。戸籍を集めて相続人を確定する、名寄帳や登記事項証明書で不動産の内容を確認する、固定資産税の納税通知書から評価額を把握する、境界や越境の有無を調べる。こうした準備は今から進められます。おおよその相場感を知るために査定を受けること自体も可能です。ただし査定はあくまで参考値で、売却の実行には全員の合意が必要です。準備と決定を分けて考えると、話し合いも進めやすくなります。

相続登記は2024年から義務になっている

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(不動産登記法76条の2)。施行前に発生した相続も対象で、この場合は2027年3月31日までが期限です。売るつもりがあるかどうかに関わらず、名義はいずれ変えなければなりません。どうせ必要な手続きなら、売却を検討し始めた今のタイミングで済ませてしまうのが合理的です。

売却までの正しい順序

相続した不動産の売却は、順番を守るだけで結果が変わります。おすすめは「①相続人と遺産の確定 → ②分割方針の決定 → ③相続登記 → ④査定依頼 → ⑤売却・確定申告」という流れです。ポイントは、不動産会社に行くのが4番目だということ。先に査定から入ると、価格が出た後で分割方針や税金の話を蒸し返すことになり、相続人間の不信感にもつながります。時間がかかるのは①〜③の部分なので、ここを並行して進めておくと全体がスムーズです。

STEP1|相続人と遺産の範囲を確定する

最初に行うのは、被相続人の出生から死亡までの戸籍を集め、法定相続人を確定させる作業です。前婚のお子さまや認知した子など、家族も知らなかった相続人が判明することがあります。あわせて、不動産・預貯金・有価証券・借入金まで含めた財産の全体像を洗い出します。不動産は登記事項証明書と固定資産評価証明書で内容を確認しましょう。ここが曖昧なまま話し合いを始めると、後から財産が出てきて分割をやり直すことになりかねません。

STEP2|遺産分割の方針を決める(換価分割・代償分割)

不動産を分ける方法は主に二つあります。売却して現金を分ける「換価分割」と、一人が不動産を取得し他の相続人に金銭を支払う「代償分割」です。売って分けるなら換価分割が公平でわかりやすく、誰かが住み続けるなら代償分割が向いています。どちらを選ぶかで、必要な資金も税金の考え方も変わります。共有のまま登記する方法もありますが、将来の売却や相続で身動きが取れなくなりやすいため、慎重な検討が必要です。方針は売却前に固めておきましょう。

STEP3|相続登記を済ませる

分割方針が決まったら、遺産分割協議書を作成し、相続登記を申請します。必要書類は戸籍一式、住民票、固定資産評価証明書、相続人全員の印鑑証明書など。登録免許税として固定資産税評価額の0.4%がかかり、司法書士へ依頼する場合は報酬が別途必要です。換価分割で売却する場合は、便宜上一人の名義にまとめることもありますが、その書き方を誤ると贈与と見なされるおそれがあります。協議書の文言は司法書士や税理士に確認してもらうと安心です。

STEP4|不動産会社に査定を依頼する

名義が整ったら、いよいよ不動産会社に査定を依頼します。査定額は会社によって差が出るため、複数社に依頼して価格の根拠を比較するのが基本です。高い金額を提示されると心が動きますが、根拠のない高値は売れ残りの原因になります。近隣の成約事例、土地の形状や接道、建物の状態をどう評価したのかを確認しましょう。相続案件は権利関係や税金の論点が絡むため、その取扱いに慣れた担当者かどうかも重要な判断材料になります。

STEP5|売却・確定申告

買主が決まれば売買契約を結び、決済と引渡しで取引は完了します。ただし、ここで終わりではありません。売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告が必要です。空き家特例や取得費加算の特例を使う場合は、利益がゼロになるときでも申告が要件になります。売買契約書、取得費や譲渡費用の領収書、自治体発行の確認書などは、申告まで必ず保管しておいてください。

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売却する前に知っておきたい税金

不動産を売って利益が出ると、その利益に対して譲渡所得税と住民税がかかります。計算式は「譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除」。ここで重要なのが、税率が所有期間で変わること、そして取得費が分からないと税額が跳ね上がることです。相続の場合は被相続人が買った時期や金額を引き継ぐため、古い売買契約書が残っているかどうかが結果を左右します。売る前に概算だけでも把握しておくと、手取り額の見通しが立ち、分割の話し合いもしやすくなります。

譲渡所得税は所有期間で税率が変わる

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば「長期譲渡所得」で税率20.315%(所得税15%+復興特別所得税+住民税5%)、5年以下なら「短期譲渡所得」で39.63%と、約2倍の差があります。相続した不動産の場合、所有期間は被相続人が取得した日から引き継いで計算します。つまり親が長く住んでいた実家であれば、相続してすぐ売っても長期の税率が適用されるのが通常です。相続=短期と誤解して売却を先延ばしにする必要はありません。

取得費が分からない場合の扱い

取得費とは、その不動産を買ったときの購入代金や諸費用のことです。これが分からないと「概算取得費」として譲渡価額の5%しか計上できず、売値の95%が利益と見なされてしまいます。3,000万円で売れば2,850万円が課税対象となり、税負担は数百万円規模に膨らみます。売買契約書が見つからない場合でも、通帳の入出金記録、住宅ローンの資料、購入時のパンフレットなどが取得費を裏づける材料になることがあります。まずは実家の書類を探すことから始めてください。

確定申告が必要になるタイミング

売却して利益が出た場合、売った年の翌年2月16日〜3月15日に確定申告を行います。見落とされやすいのが、特例を使って税額がゼロになるケースでも申告が必要だという点です。空き家の3,000万円特別控除も取得費加算の特例も、申告することが適用要件になっています。「税金がかからないから申告不要」と考えて放置すると、特例が使えず後から課税される事態になりかねません。売却した年を挟んで、申告までが一連の手続きだと考えておきましょう。

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相続した不動産を売るときに使える2つの特例

相続した不動産の売却には、税負担を大きく下げられる特例が二つあります。一つは「相続空き家の3,000万円特別控除」、もう一つは「相続税の取得費加算の特例」です。どちらも要件と期限が細かく定められており、同じ不動産について併用はできません。使えるかどうかで手取りが数百万円変わることもあるため、売却の方針を決める段階で確認しておく価値があります。特に空き家特例は、建物を壊すか耐震改修するかという売り方そのものに影響します。

相続空き家の3,000万円特別控除

被相続人が一人で住んでいた家を相続し、売却した場合に譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です(措法35条3項)。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有登記された建物でないこと、相続開始直前に被相続人以外が住んでいないこと、売却代金が1億円以下であること、そして耐震改修をするか取り壊して売ること。適用期限は令和9年12月31日までの譲渡です。なお相続人が3人以上の場合、控除額は一人あたり2,000万円になります(令和6年1月1日以後の譲渡)。

相続税の取得費加算の特例

相続税を納めた人が、その相続財産を一定期間内に売却した場合、納めた相続税のうち売却した不動産に対応する部分を取得費に加算できる制度です(措法39条)。取得費が増えれば利益が圧縮され、譲渡所得税が軽くなります。前提として相続税が課税されていることが必要なので、基礎控除内で相続税がかからなかった方は対象外です。期限は、相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで。実質的に「相続開始から3年10か月以内」の売却が条件になります。

どちらを使うか・併用できるか

同じ不動産について、空き家の3,000万円特別控除と取得費加算の特例を重ねて使うことはできません。どちらか有利なほうを選ぶことになります。目安として、相続税を納めていない、または納税額が小さい場合は空き家特例が有利になりやすく、相続税を多く納めていて空き家特例の要件(昭和56年以前の建築、耐震改修や取壊しなど)を満たさない場合は取得費加算が候補になります。判断には相続税額と譲渡益の試算が必要なので、売却前に税理士へ確認するのが確実です。

期限を過ぎると使えなくなる

どちらの特例にも期限があります。空き家特例は「相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却すること、加えて令和9年12月31日までの譲渡であること。取得費加算は「相続開始から3年10か月以内」の売却です。不動産は買主が現れるまでに数か月から1年以上かかることもあり、期限直前に動き出しても間に合いません。さらに空き家特例では自治体発行の「被相続人居住用家屋等確認書」も必要で、取得に時間を要します。逆算して動き始めてください。

特例 要件の要点 期限 注意点
相続空き家の3,000万円特別控除 ・被相続人が一人で住んでいた家
・昭和56年5月31日以前に建築
・売却代金1億円以下
・耐震改修または取壊しして売却
令和9年12月31日までの譲渡
(相続開始日から3年を経過する年の12月31日まで)
・取得費加算と併用不可
・自治体発行の確認書が必要
・相続人3人以上なら一人2,000万円
相続税の取得費加算の特例 ・相続税を納めた人が対象
(基礎控除内で納税がない場合は対象外)
・相続財産を一定期間内に売却
相続開始の日の翌日から相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日まで
(実質「相続開始から3年10か月以内」)
・空き家特例と併用不可
・相続税の納税実績が前提

相談のタイミングを間違えると損をする

相続がからむ不動産売却で後悔しやすいのは、価格交渉で負けたときよりも、相談する順番を誤ったときです。特例は「売る前」にしか手が打てないものが多く、契約を結んだ後では取り返しがつきません。また、遺産分割の方法によって税金の扱いが変わることや、相続税の申告期限との兼ね合いも見落とされがちです。ここでは、実際によくある四つのつまずきを取り上げます。当てはまりそうなものがあれば、動き出す前に専門家へ確認しておきましょう。

先に売ってしまうと使えなくなる特例がある

空き家の3,000万円特別控除は、家屋を耐震改修して売るか、取り壊して更地で売ることが要件です。買主が譲渡の翌年2月15日までに取壊しや耐震改修を行う場合も対象になりますが、いずれも契約時点の段取りが前提になります。何も知らずに現況のまま売り、買主がそのまま住んでしまえば要件を満たしません。また相続後に一時的でも賃貸に出すと、それだけで対象外になります。「とりあえず貸しておこう」という判断が、後に数百万円の差を生むことがあります。

遺産分割の方法で税負担が変わる

換価分割で売却代金を分ける場合、各相続人がそれぞれ譲渡所得を申告し、要件を満たせば特例も人数分使えることがあります。一方、代償分割で一人が取得して売却すると、譲渡所得はその一人に集中します。どちらが有利かはケースによって異なり、相続人の人数や相続税の納税額によっても変わります。さらに、遺産分割協議書の書き方によっては相続人間の贈与と扱われるおそれもあります。分割方針は、税金の試算とセットで決めることをおすすめします。

相続税の申告期限との関係

相続税の申告と納付は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。納税資金を不動産の売却代金でまかなう予定なら、この10か月から逆算して動く必要があります。遺産分割がまとまらないまま期限を迎えると、未分割のまま申告することになり、小規模宅地等の特例などがいったん使えません。取得費加算の特例も相続税の納付が前提です。相続税がかかりそうな場合は、売却の検討と並行して税理士に相談しておきましょう。

売り急ぎで安く手放してしまうケース

「納税期限が迫っている」「管理が大変」「相続人同士で早く決着をつけたい」。こうした事情で焦ると、相場より安い価格で手放してしまいがちです。特に買取は現金化が早い反面、仲介での成約価格より2〜3割低くなるのが一般的です。急ぐ必要が本当にあるのか、納税資金は延納や他の財産でまかなえないか、一度立ち止まって確認してください。空き家のまま所有し続けるコストと、値下げして早く売る利益を並べて比べると、判断の材料が見えてきます。

不動産会社に相談するときの確認点

名義と税金の方針が固まったら、いよいよ不動産会社選びです。どこに頼んでも同じと思われがちですが、相続案件では担当者の経験差が結果に表れます。境界が未確定、建物が古い、相続人が複数いて意思決定に時間がかかる。こうした事情に慣れているかどうかで、提案の質が変わるからです。査定額の高さだけで選ばず、根拠の説明、契約の種類、費用の内訳まで確認しましょう。最初の面談で次の四点を聞いてみると、相性が見えてきます。

相続案件の取扱い経験があるか

相続した不動産の売却は、通常の売却にはない論点を伴います。相続登記が済んでいるか、相続人全員の意思確認が取れているか、特例の適用期限が迫っていないか、遺品や家財が残っていないか。こうした点に自ら触れてくる担当者は、相続案件を扱い慣れている可能性が高いといえます。逆に、価格の話ばかりで名義や期限の確認がない場合は注意が必要です。「相続で取得した物件の取扱い実績はどのくらいありますか」と率直に尋ねてみてください。

査定額の根拠を説明してくれるか

査定額は「いくらで売れるか」の予想であり、その金額で売れることを約束するものではありません。だからこそ、根拠の説明が重要です。近隣でいつ・いくらで成約した事例を参照したのか、土地の形状や接道条件、建物の築年数や状態をどう評価したのか、売却にどのくらいの期間を見込んでいるのか。これらを具体的に説明できる担当者は信頼できます。他社より突出して高い査定額を出す会社は、媒介契約を取るための提示である可能性も念頭に置きましょう。

媒介契約の種類と違い

不動産会社に仲介を依頼する契約を媒介契約といい、専属専任・専任・一般の3種類があります。専属専任と専任は1社のみに依頼する形で、レインズへの登録義務や定期的な報告義務があり、会社側も熱心に動きやすいのが利点です。一般媒介は複数社に同時に依頼でき、競争が働く一方、各社の本気度が分散することもあります。専属専任では自分で買主を見つけた場合も会社を通す必要があります。物件の売れやすさや希望時期に応じて選びましょう。

仲介手数料と、そのほかにかかる費用

仲介手数料は法律で上限が決まっており、売買価格400万円超の場合は「価格×3%+6万円+消費税」が目安です。3,000万円で売れば約105万円になります。このほかにも、印紙税、相続登記の登録免許税と司法書士報酬、抵当権抹消費用、測量費、建物の解体費、家財の処分費などがかかります。解体や測量は数十万円から100万円を超えることもあるため、見落とすと手取りの計算が狂います。契約前に費用の全体像を書面で示してもらいましょう。

売却以外の選択肢も検討する

相続した不動産の出口は売却だけではありません。賃貸に出して収益化する、住み続けながら現金化する、土地を国に引き取ってもらう、あるいは共有のまま保有する。それぞれにメリットとリスクがあります。大切なのは、「思い出があるから手放したくない」という気持ちと、「維持費や将来の相続の負担」という現実の両方を並べて考えることです。感情と数字を切り分けて比較すれば、家族で納得できる結論に近づきます。まずは選択肢を知ることから始めましょう。

賃貸に出す

立地がよく建物の状態も悪くなければ、賃貸に出して家賃収入を得る方法があります。資産を手放さずに済み、将来的に売る選択肢も残せるのが利点です。一方で、入居前のリフォームや設備更新に費用がかかり、空室になれば固定資産税と維持費だけが出ていきます。管理を委託すれば手間は減りますが手数料が必要です。注意したいのは、相続後に一度でも賃貸に出すと空き家の3,000万円特別控除が使えなくなる点。売却も視野にあるなら、順序を慎重に検討してください。

住み続けながら現金化する方法

配偶者が実家に住み続けたいけれど、他の相続人には代償金を払う必要がある。こうしたケースでは、住まいを確保したまま資金を用意する方法が検討されます。代表的なのが、自宅を売却して同じ家に賃借人として住み続ける仕組みや、自宅を担保に融資を受ける仕組みです。まとまった資金が得られる反面、売却価格が相場より低くなる、家賃負担が生じるなどの注意点もあります。仕組みごとの向き不向きは、下記の関連ページで詳しく解説しています。

不動産売却という「争続」対策はこちら

相続土地国庫帰属制度

売ることも貸すこともできない土地を、一定の要件のもとで国に引き取ってもらえる制度です。2023年4月に始まり、相続や遺贈で土地を取得した相続人が申請できます。ただし対象は土地のみで、建物が建っていれば解体が必要です。担保権の設定がある、境界が不明確、土壌汚染や埋設物がある土地なども対象外とされています。申請時に審査手数料がかかり、承認後は原則10年分の管理費相当額にあたる負担金の納付が必要です。詳しくは法務省の案内をご確認ください。

相続土地国庫帰属制度(法務省)はこちら

共有のまま持ち続けるリスク

結論を先送りして、相続人全員の共有名義のまま登記するケースは少なくありません。しかし共有は、将来の選択肢を確実に狭めます。売却も大規模な修繕も共有者全員の同意が必要で、一人でも反対や連絡不能があれば動かせません。さらに共有者が亡くなればその持分が次の世代へ相続され、時間の経過とともに関係者が増え、面識のない親族同士で協議することになります。固定資産税の負担をめぐる争いも起きがちです。共有は「先送り」であって解決ではありません。

終活と相続のまどぐちにご相談いただいた場合

終活と相続のまどぐちは、不動産の売買・媒介を行う会社ではありません。私たちの役割は、売却の前に決めるべきことを一緒に整理し、必要な専門家や業者へおつなぎすることです。「相続人は誰か」「どう分けるか」「どの特例が使えそうか」。この整理ができていれば、その後の手続きは驚くほどスムーズに進みます。どこに相談すればよいか分からない、という段階からで構いません。まずはお話を聞かせていただくところから始めます。

売却の前に決めるべきことを一緒に整理します

ご相談では、相続人の範囲、遺産の内容、ご家族のご希望、期限の有無をうかがい、いま何が決まっていて何が未決なのかを一緒に書き出します。そのうえで、どの順番で、誰に相談すべきかを整理してお伝えします。売却すべきかどうかを私たちが決めることはありません。判断に必要な材料と選択肢をそろえるのが役割です。「何から手をつければいいか分からない」という状態こそ、最初にご相談いただきたいタイミングです。

不動産査定・売却業者へお取次ぎします

方針が固まり、売却の検討に進む段階になりましたら、不動産査定・売却業者へお取次ぎをさせていただきます。まどぐちが査定や媒介を行うことはありません。ご事情やご希望をうかがったうえで、適した業者をご案内します。査定額の比較や契約内容の確認は、お客さまご自身で納得いくまで行っていただけます。相続の経緯や家族のご意向を事前に共有しておくことで、業者との最初のやり取りがスムーズになるという利点もあります。

相続の法律・税務はグループの弁護士・税理士へおつなぎします

遺産分割で意見がまとまらない、相続人の一部と連絡が取れないといった法律問題は弁護士へ、譲渡所得税の試算や特例の選択、相続税の申告は税理士へ、相続登記は司法書士へ。それぞれの専門家をご紹介します。ご自身で一から探して、同じ経緯を何度も説明する負担がなくなります。特例の期限が迫っている場合など、時間との勝負になる場面では、早い段階で適切な専門家につながることがそのまま結果を左右します。

新宿マルイ本館7Fで対面相談を承ります

ご相談は新宿マルイ本館7Fの窓口で、対面にて承っております。書類をお持ちいただければその場で内容を確認しながらお話を進められますので、電話やフォームよりも整理が早く進みます。お買い物のついでにお立ち寄りいただける立地で、ご家族そろってのご相談も歓迎です。ご相談は無料ですが、事前予約制とさせていただいております。まずはお電話またはフォームでお問い合わせください。サービス内容をご説明のうえ、日時を調整いたします。

不動産はこちら

※終活と相続のまどぐちは、不動産の売買・媒介は行っておりません。不動産査定・売却業者へのお取次ぎと、専門家のご紹介を承ります。
※ご相談は無料です。お電話・フォームでサービス内容をご説明のうえ、事前予約制とさせていただきます。

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不動産売却の相談に関するよくある質問

ここでは、不動産売却のご相談で実際によくいただく質問をまとめました。「まだ売ると決めていないのに相談してよいのか」「登記が済んでいないが大丈夫か」といった、最初の一歩に関するものが大半です。多くの方が同じところでためらっています。疑問が解消されないまま時間が過ぎると、特例の期限が近づいてしまうこともあります。気になる項目があれば、まずはお気軽にお問い合わせください。

相談だけでも受けてもらえますか?
はい。売却を決めていない段階でも構いません。「売るべきか迷っている」「何から始めればよいか分からない」というご相談も多くいただきます。まずは現状を整理し、選択肢をご説明します。ご相談は無料・事前予約制です。
相続登記が済んでいなくても相談できますか?
問題ありません。むしろ登記前の段階でご相談いただくほうが、分割方針や税金の特例を踏まえた進め方をご案内できます。登記が必要な場合は、司法書士をご紹介します。
相続人の一人だけで売却を進められますか?
遺産分割で単独の名義になっていない限り、原則としてできません。未分割の不動産は相続人全員の共有となるため、売却には全員の合意が必要です。まずは分割の方針を固めることが先決です。
遠方の不動産でも相談できますか?
ご相談は可能です。方針の整理は所在地を問いません。ただし売却の実務については、地域によっては事業者にお取次ぎできない場合がありますのでご了承ください。
売却して利益が出たら、必ず税金がかかりますか?
利益が出れば譲渡所得税と住民税の対象になりますが、空き家の3,000万円特別控除や取得費加算の特例で税額がゼロになることもあります。ただし、その場合でも確定申告は必要です。
不動産会社は自分で探したほうがよいですか?
ご自身でお探しいただいても構いません。まどぐちでは、ご事情をうかがったうえで不動産査定・売却業者へのお取次ぎを承っています。複数社を比較したいというご希望も遠慮なくお伝えください。

まとめ|査定の前に、相続と税金の方針を決める

相続がからむ不動産売却で結果を分けるのは、価格交渉の巧拙よりも順序です。相続人と遺産を確定し、分け方を決め、相続登記を済ませる。そのうえで査定に進めば、話は滞りなく前へ進みます。逆に査定から入ると、名義や税金の論点が後から噴き出し、特例の期限を逃すことにもなりかねません。空き家特例は3年目の年末、取得費加算は3年10か月——時間は思ったより短いものです。何から手をつけるべきか迷ったら、整理の段階からご相談ください。

お電話での受付時間:平日/土日11:00~20:00